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合気道研心会体験談

合気道研心会の会員の皆様にお聞きした「合気道体験談」です。

一般クラス

太田さんに聞きました

太田さん曰く、「私は畑山道場長のファン。先生のいくところ、私も行く」と少し照れながら。狭山台道場をはじめ、 入間、鍵山、鳩山、鶴瀬、川越、 上石神井と、枚挙に暇がない。いろいろな所でお会いするので、一体どこの所属なんだろう?(笑) と、お思いになる方も多いのではないかと思う。太田さん は実に稽古熱心でいらっしゃる。

質問と答え

  • 太田さんの合気道のきっかけとは何でしょう?
  • 叔父が名古屋支部田代道場で、稽古をやっており、面白い武道だからやってみなさいとすすめられました。
  • それは、お幾つのときですか?
  • 昭和38年、4月の大学入学と同時にはじめまして、(18才の春)道場には大学生は私以外一人ぐらい稽古をしていました。
  • 今年で(2004年現在)合気道暦何年になりますか?
  • 会社の仕事の関係や結婚又転勤等で23年くらいのブランクが有り、平成元年から本川越道場で畑山先生に出会えました。20年くらいやっているとおもいまいす。
  • 週に何回くらい稽古をなさっておいでですか?
  • 週3回を目標に、稽古をやっております。
  • 合気道が「おもしろい」と感じられるようになったのは、何年目、または段・級、いつごろからでしょうか?
  • 中学、高校と剣道をやっておりましたが、合気道を始めたときから、何か理解できない精神的なものを感じ、「面白い」「不思議」と今でも、この思いは続いています。
  • 今まで沢山の「合気道人」とお会いになってきたかと存じますが、その中で、”忘れられない凄い人”、”忘れられない達人”、”もう一度会いたい合気道人”といった類の方はいらっしゃいますでしょうか?
  • 出会う合気道の師範方は、どの方々も個性が有り、素晴らしい魅力的な方々なので、特定できません。合気道は試合形式をとらず、形稽古のみの形式を取ったために、自由な発想が出来るので、素晴らしい師範方が出たのだと思います。
  • 開祖が、ご存命の頃(昭和43年入神)、ご覧になったことが、ございますか?
  • 学生時代、5回から6回、開祖にお目にかかりましたが、ただ、ただ「この方こそ、翁先生か」と演武を羨望のまなざしで拝見し、古事記や神道のお話を拝聴するだけでした。
    本部に稽古に通った、その思い出話ですが、東京オリンピックの前で、まだ新幹線も開通していませんでしたから、名古屋から、新宿まで8~9時間かけて上 京し、3月春休みの寒い日々、安宿(当時は一晩100円で泊まれましたよ)、毛布一枚だけ貸してもらい、鼻水をすすりながら、寒さに堪え眠りにつきまし た。線路が近い宿では、朝早く走る「貨物列車」の轟々たる音で眠れない、などということもありましたね。あれは大阪の宿街のことだったでしょうか・・・
    翌朝の朝稽古(6時半)に間に合うように、新宿駅からバスに乗り、新宿駅から職安通りを通り、「抜け弁天・停留所」の近くににある、本部道場へ、学生時代通ったものです。一日五回、六回の稽古をこなしたものでした。まさに「死ぬ思い」でした(苦笑)
  • 本部道場へ、太田さんはお出かけになるそうですか、本部道場で稽古の経験がない私どもにとっては興味が有ります。どのような稽古で、どのような雰囲気なのですか?
  • 研心会の稽古方法と基本的には変わらないと 思います。金曜日の夜7時から道主による稽古が有りますので、時間の許す限り稽古に出ていました。私の個人の受け取り方かもしれませんが、稽古の時は何と もいえない緊張感と、品格、そして、質の高い稽古と感じて、きつい60分間の稽古に参加していました。ここ2・3年は本部の道場に行き、稽古をする時間を とることが出来ずにおります。会員の皆様も一度は経験されてもよいかと思います。
  • 畑山師範についてお聞かせ願いますか?
  • 師範に初めてあった日のことをお聞かせ願い ますか?人生の出会いで、すばらしい師範にめぐり合えて、幸せの一言です。息子を所沢道場に通わせていたので、すんなりと「お父さんも稽古するから」と平 成元年から再開したしだいです。勤務の関係で本川越道場に入会しました。飾らない、朴訥な先生のお人柄に心から惹かれたことを思いだします。
  • 「合気道は相手を傷つけずして・・・」と牛若丸と弁慶の話を例に取り、私どもに、合気道の魅力について教えてくださる太田先生ですが、改めてお聞きします、合気道の魅力とは何でしょう?
  • ある師範から「合気道というものは、魂(タ マシイ)の禊(ミソギ)をあらわしている武道だから、ただ単に相手を投げたり、抑えたりするのではなく、稽古相手は自分をみがいてくれる”砥石(とい し)”のようなものだと思い、相手を尊重して、相手の力を出させる稽古をすれば、もっと奥の深いものが追求できるのではないか」と教わりました。それを 中々実践できませんが、時々この師範の一言を思い出しては自戒している、そのような日々です。
  • 合気道によって切り抜けた「ピンチ」「ハプニング」はございますか?
  • そのような経験は一切ないですね、そんなことがあればすぐ逃げます
    (苦笑)。かかわりたくないですね。
  • お若いときと、お年をお召しになった現在とでは、合気道のありかた、体の使い方、などは変化なさったのでしょうか?
  • 体の使い方、などは変化なさったのでしょうか?若い人には元気な稽古、女性、ご夫人には柔らかい、年配の人にはゆっくりとした、柔らかい稽古をして楽しめばよいと考えます。「汝、自ら参じて知れ」これしか言い様はありません。
  • 合気道によって得たものはございますか?
  • 短気が少しは長くなった様に思います。「今日一日を活き活きと生きる」を目標に、明るく活き活きと生活がしたい、合気道は私の生活に、そのような気持ちを与えてくれました。
  • 太田さんは、狭山台道場で、指導を担当なさっておいでですが、指導をなさっているときに、どんな点に気をつけていらっしゃるのですか?
  • 指導をなさっているときに、どんな点に気をつけていらっしゃるのですか?年齢に合った、無理をしない稽古をしたいと思っています。
    会員の皆様が、楽しく合気道を学んでいただきたい、それだけです。
  • 指導中「楽しい」「うれしい」と感じることは何でしょうか?
  • 互いに、気持ちよく技が捌けたことです。
  • 逆に「ああ、なんとも難しいぞ」感じることはございますか?
  • 正面打ち一教です。この技こそ難しく、奥の深い技はないと思っています。
  • どのようなお仕事をなさっていたのか、お聞かせ願いませんでしょうか?
  • 小さな商社会社で、特許関係の仕事をやっていました。
  • お好きなTV番組などはございますか?
  • ※NHK「プロジェクトX」
  • 武道関係で気になる人物などはいらっしゃいますか?
  • 松聲館(しょうせいかん)主宰者の甲野善紀(こうの・よしのり)さん、黒田鉄山(くろだ・てつざん)さん、鹿島神流の故国井善弥(くにい・ぜんや)さんなどなど、武道で有名であった方々に興味があります。
    諸先生方の本などを見かければ、ついつい手にとってしまいますね。HNKで放映されていた、甲野さんの「人間講座」も、もちろん見ましたよ。
  • 合気道関係、または武道関係で、おすすめ本はございますか?
  • 中村天風(なかむら・てんぷう)先生に関する本です。
  • 最後になりますが、太田さんにとって合気道とは何でしょう?
  • 今でも以下のような心境は、変わりません が、自分自身が、精神的に「満足にできる(できたぞ、技が完成したと思える)技」が、少なすぎる。だからこそ、追求しつづけるのかもしれません。自分自身 も気持ちよく、稽古相手も気持ちよく、投げ技・捌ける合気をもっと、もっと求めていきたい、そう思います。

編集後記

日曜日、狭山台道場には太田さんの姿がある。稽古の後は、奥様お手製の濃紺の作務衣が、太田さんの味わい深い背中にしっくりと在る。「粋」という言葉が太田さんにはよく似合う。
「稽古は楽しい」それは、合気道人にとって以下のような意味を持つのではないかと私は思っている。 ”侭ならぬ己の身体に苦笑しつつ、考えるべきこと を、考え、合気道というものを、己らの身体に摩り込んでいく。”  時にその所作は穏やかな笑いをもって、時にピンと張った弦のようにしなやかでありなが らも激しい。太田さんとの稽古は、誠に「楽しい」のである。

太田さんと、私はいままで沢山の「楽しい稽古」をした。その一つ一つを区分することはもはや不可能だ。「合気道をしてる時は、私を睨んじゃいか んよ、そんなにがっちりの身体しない、親の仇じゃないんだから」暫く、私には意味がわからなかった。今にして思えば、太田さんは活人刀を私にご教授いただ いたのではないかと思う。活人刀について、ご存知の方も多いと思うが、私の古ぼけたノートに以下のようにメモしてあったので、念のため引用する。随分昔の 本だろうし、また、どなたの著作か、いつに書かれたものなのか、失礼ながら失念してしまった。長くなるが、それは以下のようになる。

活人刀と殺人刀
一般的には「活人刀(剣)は人の役に立つ剣」、「殺人刀は、人を傷とつけるなどし、人の役に立たない剣」だから、武人は活人刀を身につけるべきであるとの事と伝えられているが、これは武術用語としては以下のようになる。
「殺人刀は相手に攻撃も反撃も防御もさせないほどに、気迫、技術で相手を追い込み、まるで巻藁を切るかのごとく相手に打ち勝つ事」、「活人刀は、相手に 油断させるが如く、気や技を見せず、相手の技と気が尽きた、隙をみて相手に余裕をもって打ち勝つ事、または相手が技を出す前に一瞬にして出鼻をくじく事」
殺人刀には、技が誰よりも強い時は敵なしだが、技を読まれてしまったり、技が尽きてしまった時はそこで、手も足も出ない状況に陥りやすく、一方、活人刀は、技に加え、「心理戦をもって優位に立つ」 _引用終了___

太田さんは活人刀の”活人”という事になるのではないか、私はそう確信する。

太田さんは大変な愛妻家でも有名だ。一日で太田さんは幾度「かみさん」と仰るだろう。「かみさんと蝋梅を見に行ったよ」「かみさんに聞いてみる よ」「かみさんがこれ作ってくれたの」 などなど、おのろけ話を沢山聞かせていただく。ご馳走様です。 ”活人”の太田さん。その横顔は「実にいい表情」 である。

注釈

NHK「プロジェクトX」:主に技術・製造会社の「常識・前例に挑む モノつくり」にかける技術者達の挑戦などを描く番組。

中村天風(なかむら・てんぷう)先生:日露戦争で活躍した。心と身体の真の健康を確立する方法として「心身統一法」を創案した。日本の政治家や著名人が師事したことでも有名。合気道創始時代に、開祖と交流のあった人物でもある。

蝋梅:ろうばい 名前に梅がついているためバラ科サクラ属と誤解されやすいが、ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木。1月から2月にかけて黄色い花を付ける落葉広葉低木である。花の香りは強い。

敬称:ご本人の希望により、敬称は「さん」といたしました。